毎日・世論フォーラム
第368回
2025年2月17日
政治学者(朝鮮半島研究)、神戸大学大学院国際協力研究科教授 木村 幹

テーマ
「戒厳令宣布後の韓国政治」

会場:ソラリア西鉄ホテル福岡

戒厳令の背景に「両極化」

前嶋 和弘 政治学者(朝鮮半島研究)、
神戸大学大学院国際協力研究科教授

木村 幹 氏

プロフィール

木村 幹
(きむら かん)

 1966年、大阪府河内市(現・東大阪市)生まれ。京都大学法学部卒業。京都大大学院法学研究科修士課程修了、同博士課程中途退学。京都大学博士(法学)。愛媛大法文学部講師、神戸大大学院国際協力研究科助教授を経て同研究科教授。NPO法人汎太平洋フォーラム理事長を兼任。
 この間、韓国国際交流財団研究フェロー、ハーヴァード大、高麗大、世宗研究所、オーストラリア国立大、ワシントン大の客員研究員及び高麗大客員教授、第2期日韓歴史共同研究委員会委員等を歴任。
 「韓国における『権威主義的』体制の成立:李承晩政権の崩壊まで」(同、第25回サントリー学芸賞)、「日韓歴史認識問題とは何か」(同、第16回読売・吉野作造賞)など著書多数。

 毎日・世論フォーラムの第368回例会が2月17日、福岡市中央区のソラリア西鉄ホテル福岡で開かれ、政治学者(比較政治学、朝鮮半島研究)で神戸大学大学院国際協力研究科教授の木村幹氏が「戒厳令宣布後の韓国政治」と題して講演した。
 木村氏は尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が国政運営に行き詰まって戒厳令を出した背景に、保守系と進歩系の「両極化」があると指摘。大統領と議会の任期がそれぞれ5年と4年で異なり選挙のタイミングがずれることから、大統領の所属政党と国会の多数政党が異なる「分割政府」になりやすい制度的欠陥があると強調したうえで、「1987年の民主化直後は(意見の相違があっても)圧倒的なボスが話し合ってどうするか決めたが、それがなくなった」と述べた。
 今後の日韓関係については「次期大統領選で保守と進歩のどちらが政権についても泥沼の対立は続く。不安定化する韓国を念頭に置いたうえで考える必要がある」と語った。

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