毎日・世論フォーラム
第306回
平成30年3月20日
2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会会長代行・元五輪担当 遠藤 利明

テーマ
「2020年東京五輪・パラリンピック大会の成功へ向けて」

会場:ソラリア西鉄ホテル

2020東京五輪・パラリンピック
開会式、前日など祝日に

遠藤 利明 2020年東京五輪
パラリンピック組織委員会会長代行
元五輪担当

遠藤 利明 氏

プロフィール

遠藤 利明
(えんどう としあき)

1950年山形県生まれ(68歳)山形県議会議員(2期)、衆議院議員(8期)文部科学副大臣、自民党幹事長代理、自民党教育再生実行本部長、自民党スポーツ立国調査会長、衆議院農林水産委員長・青少年問題に関する特別委員長などを歴任した。2015年国務大臣(東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)、17年 2020年オリンピック・パラリンピック東京大会実施本部長、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック組織委員会副会長(会長代行相当)

 第306回例会は、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会会長代行の遠藤利明元五輪担当相が「2020年東京五輪・パラリンピック大会の成功へ向けて」と題し講演、会員120人が参加した。
 遠藤氏は、交通渋滞や警備上の対策として、五輪開会式当日の7月24日と前日の23日、閉会式翌日の8月10日を祝日にするための法整備を進めていることを明らかにした。また、「東京の交通がまひして動かなくなる」と述べ、海の日(7月の第3月曜日)などをずらして3日間の休みを設ける案を挙げた。講演要旨は次の通り。

 2020年の東京五輪・パラリンピックがあっと間に近づいてきて、最近は若干追い立てられているような感じで過ごしている。五輪・パラリンピックの成功の条件は何か。一つは安心安全な運営。二つ目はやっぱりメダルがないとだめだよねと。三つ目はレガシーとして、これをきっかけにこれからの日本をどうやってつくっていくか。
 一つ目の安心安全。東京は2020年の7月、8月ですから、暑さ対策をどうやってしっかりやるか。もう一つ、恐ろしいのはテロ、中でも難しいのがサイバーテロだ。コンピュータが攻撃されて止まったらもう成り立たない部分が数多く出てくる。サイバーテロ対策というのは私たちの仕事の中で大きな要素を占めている。サイバーテロ対策が難しい課題として最後まで残るだろう。もちろん災害に備えた対策、そして輸送も大変だ。開会式の前日、開会式当日、あるいは閉会式の翌日。7月23日、24日、8月10日を休みにしないと東京の交通は麻痺して動かなくなる。何とかこの年だけ休みをずらして交通渋滞やセキュリティーに対応していくことも今必要かと思っている。
 二つ目はメダルを取らないとだめ。メダルを取ってはじめて皆さんが喜んでくれる。スポーツ庁長官の鈴木大地君を中心にして強化を大変うまくやっているので、2020年には今まで以上の成果を出せるのではないか。三つ目はレガシー。五輪・パラリンピックを契機にどういう日本をつくっていくか。日本の最新技術を世界に発信する。これも大きな要素の一つ。もう一つは日本の伝統文化を世界の皆さんに理解してもらい、発信していく。もう一つ、とりわけ意識しているのは、ユニバーサルデザインの社会をつくりたい。今回、五輪もパラリンピックも一体で運営しようとしている。実は組織委員会も五輪・パラリンピック一緒にしたのは初めてだ。五輪とパラリンピックを一体運営していこうと。障害を持っている人も高齢者も、健常者も一緒に力を合わせて共生できる社会をユニバーサルデザインの社会というが、こういうものを今回のレガシーとして大事にしていこうと。今その取り組みを一生懸命進めている。施設としてのバリアフリーと、教育としての心のバリアフリーを通じ、健常者も障害者も高齢者も同じように力を合わせて共生できる社会が、今度の五輪パラリンピックの大きな課題だ。
 さて、皆さん方から協力いただいて素晴らしいマスコットができた。福岡県出身の方がデザインしてくれた。全国の小学校の皆さんにクラス単位で投票してもらって、それで決めようということになった。2月22日に投票を締め切って、全国に2万校の小学校があるが、そのうち1万6000校。クラスでいうと10万6000なにがしの児童に投票してもらった。大変好評をいただいている。たぶんここに投票した子供たちは一生、あの時に投票してあのマスコットができたんだよと思う。これが一番大きな参加意識かなと思っている。
 また、今年の夏ぐらいまでには開会式と閉会式の監督、プロデューサーを決めたい。来年の夏ぐらいまでにはこういう形で聖火台を、ということを決められるんじゃないか。開会式の一番の華の聖火台を誰がどういう風につくるか、ぜひ楽しみにお待ちいただきたい。そして聖火ランナーの話。来年の春ぐらいには何月何日、ギリシャからきた聖火をどこで点火して、どこからスタートして、何日後にはどこに行ってということを正式に公表できるだろう。コースや走る人は各県ごとに組織委を作って決めてもらう。大会組織委は大まかな道筋と日にちだけを決める。そして各県ごとにランナーと登録コースを決めていただく。そんな形で進めていきたい。
 ボランティアについては、大会ボランティアは8万人、都市ボランティアは3万人ぐらいをお願いしようと。今年の9月ぐらいには募集要項をつくって、できるだけ若い人にも参加していただけるよう募集をしていきたい。チケットについては夏には皆さん方からインターネットで登録していただき、来年の春ぐらいからインターネット上でチケット販売をさせていただきたい。オリンピックは日本にとって世界最大のイベントだし、何としても成功させないといけない。心配しているのは、チケットがべらぼうに高くなった時に特定の人の利益になること。議員連盟の中でチケットの高値販売を禁止する法律を提案しようと思っている。

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