毎日・世論フォーラム

この1年(2018年度)を振り返る

平成から新時代へ
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日本の今後を考える

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 平成が終わり新時代を迎える2019年。いよいよ来年は2020東京オリンピック・パラリンピックが開催、2025年の大阪万博開催も決定した。明るい話題の一方で人口減少・高齢化社会は避けられない大きな課題として横たわる。2018年は、政治面では森友・加計問題の中、一強体制を強める安倍政権に対抗できない野党構図も続く。米朝会談の行方など目の離せない国際情勢の中、日本の舵取りはどう進むのか。「平成時代」の最後の年、毎日・世論フォーラムの講演からこの1年の世相を振り返る。
(毎日・世論フォーラム事務局・松中友広)

4月~秋の自民党総裁選の行方は?

 2018年4月は、古賀誠元党幹事長が「混迷する政局」と題し講演、安倍晋三首相が目指す憲法9条への自衛隊明記について9月の総裁選の争点に財政再建、外交、憲法を挙げ、「自衛隊は国民のコンセンサスで認められている。9条1項2項を残して書く必要性は全くない」と語った。「安倍政権の後は、宏池会主軸の政権を作りたい。その政権には、憲法を堅持し9条は一字一句変えない決意が必要だ」とも強調した。政権の不祥事に関しては「権力を国家と国民のために公平に中立的に使うのは権力者の基本であり、責任だ。残念ながら安倍政権にそれが欠けていたのは間違いない」と指摘した。
保阪正康氏

5月~明治150年と平成30年

 天皇陛下の退位を来年に控えた5月、ノンフィクション作家・評論家 保阪正康氏が「明治150年、平成30年を考える」と題し講演。明治150年を4代の天皇で区分して振り返ったうえで「最後の30年は(天皇の意識の上で)国体の下に政体があった前の時代から逆に変わった」と指摘。その背景に天皇陛下の戦争への理解があるとして「手段としての戦争は選ばないというのが今の天皇のお気持ちだ。それが明治、大正、昭和の流れの中でたどり着いた国の道筋で、平成30年を考える時に重要な柱になる」と述べた。

6月~安倍一強、野党はどうする?

 「安倍一強体制にどう挑むのか」。6月は野党第一党である立憲民主党の枝野幸男氏を招き「立憲民主党の目指すもの」と題し講演。同党の政権構想に関し、「単独政権になる必要はない。立憲民主党が中心になる程度の一定のボリュームを作らなければならないが、必ずしも我が党だけで過半数を取る必要はない」と述べ、他党との連立政権を目指す考えを示した。「代表である限り、他党と組織的な合併をすることはない。選挙を通じて遠からず政権を目指す」と語った。

7月~自民総裁選 森友・加計の影響は?

 7月は秋の総裁選のキーマンである岸田文雄・自民党政調会長の講演予定が急な国会召集のため、毎日新聞の倉重篤郎・政治部専門編集委員が「転機の日本政治」と題し代理講演した。9月の自民党総裁選について「安倍晋三首相の3選の確率は冷徹に見ても7割」との見方を示し「ポスト安倍」候補の岸田文雄政調会長や野田聖子総務相が出馬する可能性は現時点では低いとの認識を示したうえで、安倍首相と石破茂元幹事長のガチンコ勝負になる公算が大きく、一方、森友・加計学園問題や拉致問題などの波乱要因を挙げて「総裁選の間際まで何が起きるか分からない」とも述べた。

8月は会員交流会

薮中三十二氏

9月~注目の米朝会談はどうなる?

 何が米朝会談後、北朝鮮の動向が懸念された9月。元外務事務次官 薮中三十二氏が「緊迫する東アジア情勢と日本外交の課題」と題し講演、6月の史上初の米朝首脳会談の合意内容について「北朝鮮の核ミサイル開発を完全に放棄させられるかが問題の本質だが、そうはなっていない」と批判した。北朝鮮は核兵器の保持に世界が慣れるのを狙っていると指摘し、「(米トランプ政権は)朝鮮戦争の終戦宣言を出す代わりに、(北朝鮮が)具体的な非核化の措置を取るという条件をつけるべきだ」と訴えた。今後の日本の外交については「日米同盟を堅持しつつアジアと共生できるのは日本だけだ」と述べ、アジアの平和をつくるイニシアチブを日本が取るべきだと強調した。

10月~憲法改正と安倍政権の今後は?

 安倍自民総裁の3選が決まり、憲法改正の行方が注目された10月。自民党憲法改正推進本部顧問の船田元(はじめ)元経済企画庁長官が「憲法改正と国政の課題」と題し講演、安倍晋三首相が目指す憲法改正について「憲法は権力を縛るもので、最高権力者の首相が改憲の方向性を示すのは矛盾だ」と指摘した。また、参院定数を6増する改正公職選挙法を巡り、衆院本会議で採決を棄権したことに言及。「後から誰もついてこず、失望した。自民党内の民主主義が形骸化している」と批判し、官僚人事への政治介入が官僚の質の低下につながっているとも指摘した。

11月~ポスト安倍に挑む石破氏

 11月は自民総裁選でポスト安倍の存在感を示した自民党の石破茂元幹事長が「安倍内閣の課題と国政のゆくえ」と題し講演。慰安婦問題に関する日韓合意に基づき設立された財団の解散発表や、元徴用工を巡る訴訟で悪化する日韓関係について「歴史問題で意見が一致しないため、他のことが全く前進しないのは良くない。急速な高齢化など互いに知恵を出す分野はたくさんあり、協力関係を強めなければならない」と述べた。また、北方領土問題については「ロシアにとってあの地域(北方四島)の重要性は安全保障の一環で極めて大きい」と指摘。来夏の参院選で争点の一つになるとの見通しを示した。
大島理森氏

12月皇室のこれからの在り方を考える

 師走12月は、年明けの天皇陛下退位を前に大島理森衆院議長が「平成時代とこれからの課題」と題し講演。「女性宮家の創設」も含めた安定的な皇位継承について、「来年は退位と同時に即位の礼をやらなくてはならない。その後、政治の場で結論を出さなければならない」と述べた。来年10月の新天皇の即位の礼が終わった後に国会で議論すべきだとの考えを示し、また「元号をいつ発表し決めるかは課題だが、もっと大事なことは永続する皇室を今後どう作っていくかだ」とも指摘した。
宮家邦彦氏

1月(2019)米中朝、気になる国際情勢

 米中の貿易戦争が激しくなった1月。外交評論家の宮家邦彦氏が「AI時代の新・地政学」と題し講演。米中の貿易戦争について「簡単に言えば覇権争い。中国のハイテクは米国を追い越そうとしている。米国は西太平洋における覇権を(中国に)奪われるかもしれない恐怖がある」として、2国間の対立は他国にも波及し、続いていく可能性を指摘した。昨年6月の米朝首脳会談は「トランプ米大統領の衝動的な決断で実施され、北朝鮮の核武装を事実上黙認し、米国の軍事的オプションを封じた」と指摘した。そのうえで「日本の安全保障システムはこれでいいのかという議論になる」と述べた。

2月は会員交流会

3月~選挙イヤーの2019年

 春の統一地方選、夏の参議院選挙と選挙イヤーの2019年。3月は、自民党の加藤勝信総務会長が「安倍政権6年間の実績と今後の進路」と題し講演。夏の参院選の勝敗ラインに関し「自民と公明で過半数を維持するのは最低ラインだ」と語った。自公両党の非改選議席は70で、改選議席は78。「最低ライン」は53議席となる。統一地方選と同じ年に行われる参院選は「自民党の成績が芳しくないのがこれまでの流れだ」と警戒感を示した上で「しっかりした成績を出していく」と強調。安倍晋三首相の党総裁4選には「結果をまず出していくのが大事だ。そういう中で可能性があるのではないか」と述べた。

会員交流会
(2018年8月、2019年2月)

九州観光の未来は?

 8月は恒例の会員交流会。ゲスト講師の石原進・九州観光推進機構会長(JR九州相談役)が「観光を九州の基幹産業へ」と題し、観光産業の今後の動向と受け入れ体制作りなどについて図表を使いながらわかりやすく解説した。「九州観光でもインバウンド(訪日外国人)による消費が拡大しているが、消費単価の伸び悩みなど課題も多い」と指摘。「九州のブランドイメージ向上や観光素材の開発、消費単価の高い富裕層や欧米客の取り込みが重要」と述べたうえで「お客様目線を忘れず『住んでよし、訪れてよし』の魅力的な地域作りを」と訴えた。講演後の懇親会はRKB毎日放送の飯田和郎専務の乾杯で開宴。会員らはテーブルを囲みながら懇親を深めた。
今泉清氏

ラグビーから世界へ

 2月は新春会員交流会があり、2019年9月から日本で開催のワールドカップラグビーを前に、元ラグビー日本代表の今泉清氏が、「2019ラグビーワールドカップ日本開催と九州」と題して講演。「日本のスポーツ界では指導者の指示に『イエス』しか言えないよう指導されるが、選手に指示がどう伝わっているかが重要だ」としてラグビーでのコミュニケーションの大切さを強調した。「スポーツもビジネスも人と人が協力して一つの成果を出すのは同じ。夢をイメージして口に出し、現実にするために何が必要かを逆算して努力を積み重ねることが成果につながる」と話した。
 講演後は懇親会があり、福岡大学和太鼓演奏部「鼓舞猿」のメンバーによる和太鼓パフォーマンス、西部ガスの道永幸展常務の乾杯で開宴し、会員間の活発な交流も行われた。

2019 毎日・世論フォーラム
スケジュール

前期(4月~9月)、後期(10月~2月)の開催日程案です。
講師、会場内容については概ね2ヶ月前に決定します。
(講師・日程については急遽変更する場合があります。ご了承ください)

(前期日程)

4月
例会
講師:ジャーナリスト 田原 総一朗 氏
(4月18日・ホテルオークラ福岡)
5月
例会
講師:立憲民主党 代表代行 長妻 昭 氏
(5月22日・西鉄グランドホテル)
6月
例会
7月
例会
8月
前期・夏季会員交流会
9月
例会
※前期フォーラム運営委員会(運営委員)

(後期日程)

10月
例会
11月
例会
12月
例会
1月
(休会・予備用)
※特別会員懇親会(特別会費)
2月
後期・会員懇親会(運営委員)
3月
例会
※後期フォーラム運営委員会(運営委員)

フォーラムこの1年の例会講演者

ホテルオークラ福岡
ホテル日航福岡
西鉄グランドホテル
ホテルニューオータニ博多