毎日・世論フォーラム
第360回
2024年3月15日
元宮内庁長官 羽毛田 信吾

テーマ
「皇位継承論に思う」

会場:ホテルニューオータニ博多

制度改正に向けた動きは『待ったなし』

羽毛田 信吾 元宮内庁長官
羽毛田 信吾 氏

プロフィール

羽毛田 信吾
(はけた しんご)

 1942年、山口県川上村(現・萩市)出身。1965年、京都大学法学部を卒業後、厚生省(現・厚生労働省)入省。老人健康福祉局長、保険局長などを経て、1999年8月、厚生事務次官。2001年、厚生事務次官を退官し、宮内庁次長。05年4月から7年2カ月の間、宮内庁長官を務め、12年6月に退任した。現在、恩賜財団母子愛育会会長。

 毎日・世論フォーラムの第360回例会が3月15日、福岡市中央区のホテルニューオータニ博多で開かれ、羽毛田信吾・元宮内庁長官が「皇位継承論に思う」と題して講演した。羽毛田氏は安定的な皇位継承に向けた制度改正が進まない現状に「改正に向かって具体的な動きを起こすことは待ったなしだ」と強い危機感を示した。
 現在の皇室は17人で、うち12人が女性。未成年は秋篠宮家の長男悠仁さまのみで、65歳以上は7人となっている。羽毛田氏は「皇室も一般社会と同様、少子高齢化の様相が色濃くなっている」と指摘。女性皇族の婚姻による離脱などで今後、皇族の数が急激に減る可能性があるとして「皇族の活動に非常に支障が生じ得ることになる」と強調した。
 改正の方向性は、旧宮家の男系男子が養子縁組で皇族に復帰する案や、女性・女系天皇を認める案を例示。ただ、「皇室に女性がいなくなれば、女系に広げる選択肢はそもそも成り立たなくなる」として「今のうちから十分な論議を尽くして取りかかるべきだ」と国民的な議論を早急に進めるよう呼びかけた。