毎日・世論フォーラム
第250回 新春講演会
平成25年1月25日
毎日新聞社 主筆 岸井 成格

テーマ
「安倍新内閣と内外情勢の行方」

会場:ホテル日航福岡

安倍内閣の行方を占う
岸井・毎日新聞社主筆が講演

岸井 成格 毎日新聞社 主筆
岸井 成格 氏

プロフィール

岸井 成格
(きしい しげただ)

1944年9月、東京都出身の68歳。67年慶應義塾大学法学部卒業。毎日新聞社入社。熊本支局、政治部、首相官邸、外務省、自民党、野党クラブなどを回った。ワシントン特派員、論説委員を経て、94年政治部長。10年から毎日新聞の紙面づくりの最高責任者である主筆に就任した。新聞・雑誌のコラム、対談のほか、テレビ・ラジオでも活躍している。テレビはTBS「サンデーモーニング」のレギュラーコメンテーター

 第250回毎日・世論フォーラム(毎日新聞社主催)は、新春講演会として岸井成格(しげただ)・毎日新聞社主筆が「安倍新内閣と内外新情勢の行方」と題して講演した。岸井氏は、昨年の衆院選で自民党が圧勝した理由について▽民主党への逆風▽消費増税、反原発など争点が絞れなかった――などを挙げ、「消去法で自民になったと言える」とした。講演要旨は次の通り。

 総選挙の結果の分析をしたい。自民党圧勝だった。理由はまず、想像を超える民 主党に対するすさまじい逆風。あと、3大争点と言われる、消費税、TPP、反原発、これがなかなか絞りきれなかった。相対的に消去法で決まった。期待された第三極が伸び悩び、つぶし合った。
 そして重要な点は、マジックと言われる小選挙区制の特色。自民党は得票率は4 割、だけど8割の議席。民意を反映していないという議論が噴き上がっている。 20年前に導入の議論があり、YKKは反対していた。小泉(純一郎)さんに 「あなたあのときあれだけ反対していた」と聞いた。小泉さんは「目の前にこんなにいい制度があるのに使わないバカがいるか」と言った。風を作れる制度で、導入の目的が政権交代だった。二度にわたって目的を達している。これから選挙制度をどういう方向にもっていくか、国民性、政治風土を総合的に判断しないと、分岐点にある。検証して徹底的に議論するなら国会や政府から独立した第3臨調のようなものを設置しないと、なかなか議論は進まないのではないかと思う。
 去年は12年問題と言われた。アジア太平洋時代が本当に幕を空けた。太平洋で米国、中国がアジアの中軸として綱引きをする。北からロシアがにらみ、南のASEAN。日本はどういう立ち位置で、対応をするか。
 領土問題、戦後処理も非常にやっかいな問題。歴史上も国際法上も正当で、交渉の余地もないと政府もマスコミも言う。だがそう言えば言うほど中国韓国ロシアも冗談じゃないと、屈辱の歴史に塩を塗ると。どう解決していくか。政府にも突きつけられている。

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