毎日・世論フォーラム
2017 会員交流会
平成29年8月30日
元ラグビー日本代表 林 敏之

テーマ
「ラグビー感即動!」

会場:ホテル日航福岡

「ラグビーは人生、感動が力を生む」
林 敏之さん招き会員交流会

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林 敏之 元ラグビー日本代表
林 敏之 氏

プロフィール

林 敏之
(はやし としゆき)

徳島県出身。日本代表キャップは38。愛称は『ダイマル』及び『壊し屋』。ロックの選手としては世界的には小型の部類に入るが、恐れを知らない当たりの強さを持ち、相手チームから恐れられる存在であったが、プレーのクリーンさは際立っていた。 また、口数は少ないが、勇猛果敢なプレーで背中でチームを引っ張る統率力は、類稀であった。同志社大学経済学部卒業。神戸製鋼に入団、チームの7連覇に貢献した。2005年より同志社大学ラグビー部の理事。現在は神鋼ヒューマン・クリエイト所属。特定非営利活動法人ヒーローズの理事長。

 恒例の会員交流会は8月30日、ホテル日航福岡であり、元ラグビー日本代表の林敏之さん(57)が、2019年のワールドカップラグビー日本大会を前に、「ラグビー感即動!」をテーマに講演、会員180人が熱い感動に包まれた。講演に先立ち丸山昌宏・毎日新聞社長が「世論フォーラム今年25周年、次回例会で300回。さらに濃い内容となるよう努めたい」とあいさつ。石原進・JR九州相談役の乾杯で懇親会も開かれた。
 例会は中央のオピニオンリーダーや、政界、閣僚経験者を招く講演例会をほぼ毎月開催しているが、会員交流会は、毎日・世論フォーラムの会員社120社(2017年8月現在)とその会員紹介者による、親睦と交流を図る目的に毎年8月に開催。通常例会とは違う幅広いテーマでのゲストスピーカーの講演が好評だ。また、懇親会では会員企業のPRを兼ねた大抽選会があり、多彩かつ豪華な賞品が当たる度に大きな歓声が沸いた。林さんの講演要旨は次の通り。

 林さんは高校日本代表に選ばれ海外遠征した最終日、監督に「外国人に通用していたのはお前だけ。将来、後を継いでくれ」と告げられ涙したエピソードを当時の日記を手に披露。その言葉を胸に仲間と涙しながら、神戸製鋼で日本選手権7連覇に至った体験を語り「感動が力を生む。わき上がるものあってこその人生」と訴えた。ワールドカップが始まったのは1987年。当時は、世界一決める大会なんてできるのかという感じだった。アマチュアイズムの強い頃で、私はこの時キャプテンやらしてもらったが、今とラグビーの環境はだいぶ違った。
 今は選手30名、スタッフ20名で50人くらいで遠征に行くが、当時は選手25名、スタッフ団長以下4人。山梨の公民館に毛のはえたようなところで合宿した。エディー・ジョンズは140日合宿をはった。そして2015年のイングランドワールドカップ。日本は後半弱いというすり込みあったが後半走り勝った。練習で追い込んであの成績を残した。それ以上の成績が次の日本開催で期待される。簡単ではないが是非やってほしい。
 人間には限界があるといわれる。生理的限界と心理的限界。私の力を100とすると全部だせない。100出し尽くしたら死んでしまう、人間は制限をかける。試合に臨んだとき勝つのは出せるところが大きい方が勝つ。 どうやったら勝てるのか。あたりまえだが練習。自分おいこまないといけない。毎日ちょっとでも心理的限界こえるような練習する。それ続けることで全体の力がのびていく、トータルで大きくなったときこのチームは勝てる。私大学1年の時、岡先生にそう教えてもらった。
 神戸製鋼に入社した当時、チームはそんなに強くなかった。1年目の全国大会。新日鉄釜石にぼろまけした。2年目、ミーティングで先輩に質問した。「みんななんでラグビーやってるんですか」。するとある人は「せやな、一回くらいトヨタに勝ちたいな」と答えた。分からない気はしなかったが腹が立った。「だから勝てないんだ」と。本当に強いのは新日鉄釜石だった。「なぜ、釜石に勝ちたいといってくれないんですか。関西で勝ちたいんですか、だからラグビーやってるんですか。日本一になりたくないんですか、だからここにきたんですよ」。そう話すと「そうかじゃあ日本一になろうか」といってくれた。
 全国大会で初優勝し表彰式があってキャプテンがやってきて私の前にきた。「林さん賞状もらってきてや」という。「なにゆうてんねん」。「林さんしかないですよ、みんな行ってもらうぞ-」といって声かけてくれたんです。もうボロボロ涙が出た。泣きながら賞状とらせてもらった。いい思い出です。ラグビー人生の中でもハイライトと思う。
 大好きな言葉は「感即動」。中国の古典にでてくる。即という字がぬけたら感動。感じるからすなわち動く。ラグビーはボールを託し託されるスポーツ。人間は不完全な生き物だがそれを信じるのは、理屈超えた世界。託されたものは見えない。見えないもの大事やな、そう思う。
 ところが今は乾いた時代になった。恵まれているけど、生きていること乾いていないか、命乾いていないか。命乾いたら、命が軽くなる。自殺したり、殺したり。適度な湿り気がいる。どこから湧いてくるのか。それは湧き上がるものからしか出てこない。涙。理性的に「こうしなきゃいけない」じゃない。最高の意味や価値見いだしたら、こうしたいと、湧き上がるものがみつかる。その時初めて自由になる。「自由自在」。平尾が好きな言葉だった。湧き上がったときに自分に自分が戻ってくる。
 引退して湧き上がるもの伝えたいと思って感性フォーラムというのやっている。ラグビーと行動学、東洋哲学融合したような研修。それからラグビー寺子屋、ヒーローズカップも。
 ワンフォアオールオールフォアワンすばらしい言葉と思う。これをラグビーがひっついているの日本。世界であまりいわない。フォーオール。人のことかんがえるなら、自分を公共化していく。人のために何かしようと思うなら感謝の気持ち感じないと何かしようと思えない。人のそういうものを引き出した先に、和の世界がある、すばらしいノーサイドある。ワンフォアオールオールフォアワンひとことでいったら和。日本だからこそいえる。そんな深い哲学かかげたラグビー。もっと誇りを持ちたい。2019年ワールドカップもいろんな物語が生まれると思う。是非みなさんで盛り上げていただけたらと思う。

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